Rain and Sunshade

台所の隅には何がある？

「台所の隅には、小人さんがいるんだ」
そんなもの、いないよ。見たことないもん。
「よぉーく見てごらん。小人さんを見つけられるかも…」

□□□□

いなかったよ。
「よく探したかい？」
探したよ。
「流しの中も、台所の隅も？」
流しの中も、台所の隅も探したけどいなかったよ。
「そうか…もしかすると小人さんは、風邪を引いていたのかもしれないね」
小人さんでも風邪を引くの？
「引くよ。小人さんでもね」
小人さんって、何なの？
「何だろうね？」
どんな格好をしているの？
「どんな格好をしているんだろうね？」
見たことがあるの？
「僕は……ないね」
見たことないの？
「小人さんは恥ずかしがりやで、見つかりそうになるとすぐに隠れてしまうんだ」
……小人さんはいるの？
「いるさ」
見たことないのに判るの？
「判るさ。信じているからね」

□□□□

「小人さんはどんな格好をしているかな？」
きっと、カラフルな三角の帽子を被ってる。そして、スティックを持っているの。
「違うよ。小人さんは木の杖を持っているんだ」
ううん。スティックだよ。どのくらいの大きさかな？　リカちゃん人形くらいの大きさかな？
「もっと小さいよ。だって、すぐに見つかってしまうだろ？　さやえんどうのさやくらいの大きさだよ」
男かな？　女かな？
「言葉は通じるのかな？」
どうして台所にいるんだろう？
「そりゃあ…」
そりゃあ？
「僕たちに会うためさ…………たぶん」
たぶんじゃダメだよ。
「小人さんに聞くしかないな」
うん。小人さんを早く見つけないといけないね。
「そうだね。楽しみだ」

台所の隅には何がある？

台所の隅には、夢がある。