恋をしてしまった。 あの娘を見ると平静でいられない。 ドキドキして、顔に血がのぼるのが判る。 恥ずかしくって砂に潜って隠れるけれど、 本当はあの娘の側にいたいんだ。 あの娘がにっこり笑って僕の頭を撫でたりすると、 もうそれだけで、 その日は張り切って橇を引こうと思うんだ。 ああ、僕は恋をしてしまった! けれども僕は砂海豚で、 あの娘に言葉は通じない。 夜毎に星に向かって祈るけれど、 やっぱり僕は砂海豚で。 なので、僕は ただ彼女の乗る橇を力いっぱい引こうと思うのです。