砂海豚のおはなし





 遠い遠い昔のこと。

 住処を追いやられた一匹のリュウが、西の海上に姿を現しました。

 リュウというのはトカゲをうーんと引き伸ばしたような形をしていて、銀色の鱗に一枚だけ青色の鱗を持った、雲の上にあるという世界で仕事をしている生き物です。

 リュウの仕事は雨を降らせることでした。雨を沢山降らせて、大きな海を作るのです。けれどもそのリュウは雨を降らせる場所を間違って、違う場所に海を作ってしまったのです。おかげで、海ができるはずだった場所に、ぽっかりと水のない空間ができました。

 雲の上の世界の王様はカンカンに怒りました。そしてリュウを、その水のない空間に追放してしまったのです。なのでリュウは、西の海上に姿を現したのでした。

 雲の下に降りて来たリュウは、地上の様子を見てびっくり仰天。

 そこは一面の砂の海でした。水がなくなった結果、海ができるはずだった場所には、砂の海ができていたのです。

 リュウはばしゃりと砂の海に飛び込みました。雲の中を泳ぐように体を動かすと、砂の中でも自由に動けました。そこでリュウは砂の中を泳いで、落ち着く場所を探しました。やがて、リュウは砂の海の中に埋もれた大きな岩の側で体を丸めて休みました。

 翌朝、朝日が照るとリュウは自然に目覚めて、また泳ぎだしました。泳ぐうちに、手足はどんどん丸くなってきて鰭になりました。尻尾もどんどん平たくなってきて、リュウはとうとう砂海豚になってしまったのです。

 だから砂海豚には、銀色の鱗の中に一枚だけ青色の鱗がありますし、彼らが空を見上げて鳴くと雨が降るといいます。



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