たそがれ
明けゆくものより
暮れゆくものが好きだ
朝陽も嫌いではないが
夕陽の方が好きである
明けゆくものは、何故かいつも白っぽい
世界はいつも一瞬の静寂に覆われて、まっさらな中から生まれてくるからか
明けゆくものは、眩い銀色の世界だ
暮れゆくものは、目の奥に突き刺さるような色彩を見せる
豊かな表情を見せ、けれどもやがては消えてゆくからか
暮れゆくものは、優しい金色の世界だ
明けゆくものより
暮れゆくものが好きだ
無性に泣きたくなる夕暮れである。
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