文章修業家さんに40の短文描写お題

文章修行家さんに40の短文描写お題さんからお借りしたお題に挑戦しています。
これは、お題に沿って65文字以内で場面を描写するという、文章練習用のお題です。
ブログでちまちま更新中。お気軽にご意見、ご感想をいただけると幸いです。
宜しくお願いします!

00.お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

  久木楸。サイト名「Rain and Sunshade」
  精一杯修行したいと思います。宜しくお願いします。

告白/嘘/卒業/旅/学ぶ/電車/ペット/癖/おとな/食事/本/夢/女と女/手紙/信仰/遊び/初体験/仕事/化粧/怒り/神秘/噂/彼と彼女/悲しみ/生/死/芝居/体/感謝/イベント/やわらかさ/痛み/好き/今昔(いまむかし)/渇き/浪漫/季節/別れ/欲/贈り物

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文章修業家さんに40の短文描写お題



01.告白

白い墓標の群れを、風が慰めていた。冷たい石版に頬を寄せ、彼は呟いた。
「君を愛している。」
彼の心が零れ落ちて、ぽたんと石版を暖めた。


02.嘘

刀匠の目は酷く充血し、そして吊り上っていた。唇が歪み、そこから吐き出された罵声と共に、熱された金鋏が目の前に振り翳された。


03.卒業

男が一人、少年漫画誌を手にして立っている。男はその表紙をじっと見つめていたが、やがて決心したように雑誌を置いて、立ち去った。


04.旅

病室へ駆けつけた多田が声をかけると、ベッドの傍に立って窓の外を見ていた達也は、言った。
「父さんは旅に出ました。ずうっと遠くへ。」


05.学ぶ

窓の隙間から入り込んだ風が、ぱらぱらと教科書のページをめくっている。
「速読が得意なのね」と彼女がほほ笑んだ。


06.電車

「ただいまー」
ドアを開くと、息子と旦那は振り返って「おかえりー」と声をそろえた。足元では小さな電車がモーター音を響かせている。


07.ペット

好きなんだけどね、と和美は言った。好きならいいじゃない、と私は返した。すると彼女は声をひそめた。だってあの人カエルを飼ってるのよ。


08.癖

「あの人、会議中に15回も鼻の頭をかいたの! 癖なんだわ」
そうやって人の癖を観察するのが、彼女の癖なんだろうなと僕は思う。


09.おとな

「月が赤いよ」と、坊や。
「そうだね」
「燃えてるの?」
「そうだね」
「ウサギは熱くないかな?」
「そうだね」
それきり坊やは黙り込んだ。


10.食事

白き大蛇はゆるゆると起き上がりて、朧なる月光の下、その蒼き鱗を光らせながら、今宵の獲物を探しに出た。


11.本

ページをめくる度に、指先がじりじりする。思わず手を止めると、わずかに開いたページから幾色もの光とかわいた音が勢いよく飛び出した。


12.夢

銀盤の端は靄の中へと消えていた。
あ、夢を見ているなと思った途端、靄がすごい勢いで押し寄せてきて、僕はあっというまに飲み込まれた。


13.女と女

この手紙を上の淵で姉に渡してほしいと言ったのは、白い着物を着て、髪の長い女だった。彼女の姉も美人なのか。その下心が失敗だった。


14.手紙

滑らかな肌をした白い封筒にぼたりと赤い蝋を垂らすと、隣で大人しく見ていた愛犬のクウが悲しそうに一声鳴いた。


15.信仰

札束だった。ぼくの父が、最期まで握りしめていたのは。
先日死んだ母の手にはロザリオがあった。
きっとぼくは何も持たないだろう。


16.遊び

何やら子供らの声が聞こえなくなったと、そっと東屋の戸をあけて見れば、色づいた山の向こうに饅頭のようなお天道様が沈むのを見ていた。


17.初体験

辺りは随分と薄暗いのに、空は灰色に光っていた。涙で滲んだその空は、今でも胸の内で輝いている。


18.仕事

夕子はすやすやと眠っている。ほんのり色づいた頬、握りしめられた小さな手。窓の外では、蜩が寂しく鳴いている。


19.化粧

人込みをかき分けて見た花嫁行列。白無垢が目に眩しい。
姐さんの口を彩る紅の赤がぐにゃりと歪む。
隣の達吉が呆れたように溜息をついた。


20.怒り

どくどくと自らの心臓が脈打つ音が、やけに大きく感じた。握りしめた拳が、意思とは関係なく震える。ああ、自分は今生きているのだ。


21.神秘

「逃げないでください!」
彼女は叫んだ。けれども、その心配はなかった。何故なら僕は、彼女の美しさにすっかり虜になっていたのだ。


22.噂

空き缶は悲鳴を上げて、わずかに凹んだ。友人の顔は青い。その場の空気が冷たくなったからか。慌てて声をかける。
おい、単なる噂だからな。


23.彼と彼女

白いパンプス。
そこから伸びた足も白い。
その先はタイトスカートの中に隠れている。
スカートの腰には、日に焼けた男の手が巻きついている。


24.悲しみ

雨は、赤茶けた大地をたちまち黒色に変える。目をこらさなければ気付かないほど、幽かに、かすかに降る雨でさえも。


25.生

父の釣り上げた魚は、堤防の上でびちびちと激しくとび跳ねた。母がまな板の上でさばく時、彼は血を流すだろう。今日の夕餉は焼き魚だ。


26.死

頬は硬く、そして冷たい。この白い塊には目には見えないわずかな欠損がある。彼の穴と言う穴から抜け出て行ったもの。
魂とは熱なのだ。


27.芝居

右手が上がる。小指が折れ、薬指、中指が続く。すっと人差指の先から腕、肩を伸ばした彼女の射抜く眼差しを、左手の扇子が静かに隠した。


28.体

小鳥は美しく鳴いた。そして羽ばたく。
彼女は美しく歌った。そして駆けて行く。
彼女とあの小鳥に違うのは、きっと体のつくりだけだ。


29.感謝

眼は鋭く光っている。右手には私が渡したハンカチ。それを握りしめて、鋭い眼光をほんの少しだけ和らげる。
それが彼の感謝の表し方だった。


30.イベント

ユタカは時計を見て溜息をついた。それから時計を見る。
「そわそわしても仕方ないよ?」
「分かってるよ」
そう言って、彼はまた時計を見た。


31.やわらかさ


32.痛み


33.好き


34.今昔(いまむかし)


35.渇き


36.浪漫


37.季節


38.別れ


39.欲


40.贈り物







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